作品紹介

Garden of Memory -記憶の底に眠る庭-

私たち日本人は森に起源を持ち、古来より森羅万象の循環のなかで生を営んできました。全てのものは密接に係わり合い、消滅と再生を繰り返してきました。それは決して閉じられたシステムではなく、メビウスの輪のように外部に開かれ、そしてまた内側に戻ってくる相互的な世界でした。人のこころの奥に横たわる無意識の世界もまた、そのような構造を持つと言われています。

この庭は、私たちが記憶の中に共有するいくつかの風景を表現しています。それは、邪悪なものを払い、新しい生命の誕生を助ける「流し雛」の儀式であり、そこから発展した「曲水の宴」、そしてまた平和への祈りを込めた長崎の「精霊流し」のイメージであり、生と死が大きな時間の中で巡りゆくすがたを暗示するものです。

水面に浮かぶ光のゆらめき、風のエネルギーを伝える風鈴の響きは、大地と天空の動きを捉え、五感に訴える環境装置として機能します。かつて弔いの道具として使われた無数の光と音の洪水の中で、何千年ものあいだ私たちが記憶の中で共有し続けてきた何かが呼び覚まされる、そんな「祈り」にも似た風景の創造を目ざします。

過去の作品

関 晴子

関 晴子

  • 参加項目

    ショーガーデン

  • 受賞歴

    英国チェルシーフラワーショーに「うつろいの庭」(2007年、銅賞受賞)、「銀色の月影の庭」(2008年、銀賞受賞)を出展。ショーガーデン部門に出展したこの庭は、英国のガーデン・ジャーナリストが組織するTHINKINGARDEN委員会によって、ベストガーデンに選ばれた。英国と日本のほか、欧州、中国、ロシア圏のプロジェクトをグローバルに手がける。国際コンペ参加、受賞多数。

  • 紹介文

    ロンドンを拠点としてグローバルに活躍するランドスケープ・デザイナー。日本にて9年間景観設計の仕事に携わり、1997年渡英。グリニッジ大学にてランドスケープ・アーキテクチャー修士課程修了と同時に、英国ランドスケープ協会よりランドスケープ・アーキテクトの資格を取得。ロンドンベースのランドスケープオフィスに4年間勤務し、主にコミュニティー・プロジェクトに従事する。2005年英国の永住権取得と同時にSTUDIO LASSO LTDを立ち上げ、以後国内外の様々なプロジェクトを手がける。
    彼女の作品は、ガーデンおよびランドスケープをアート・フォームとして捉え、日本独自の感性を生かしながら自然のエネルギーを最大限に引き出すことを狙いとしている。また、空間デザインに心理学を応用し、「時間」や「記憶」などの4次元の概念を導入する実験的な試みを続けており、現代作家として独特な作風を持つ。今大会では、歴史の貴重な証人である長崎を舞台に、「作庭」という空間芸術を通して自身の平和へのメッセージを日本と世界に向けて発信する。

  • 施工会社


    (株)花水木コーポレーション
    佐賀県神埼市神埼町鶴1497-1
    TEL.0952-52-2363